F.P.C.(Fujiwara Project Concept)藤原氏と、LITES 山口による15年越しの再定義。
かつて山口が設計を手がけた伝説的ミキサー「PL-4」のDNAを受け継ぎ、現代の現場環境へ最適化させたモデルです。
2024年9月、浜松。エンジニアとして「PL-4」を送り出した山口と、そのユーザーとしてルカサー・サウンドを追求し続けてきた藤原氏が15年ぶりに再会しました。二人の情熱が再び交差したとき、単なる「復刻」ではない、現代のシステムに求められる「正当進化」のプロジェクトが始動しました。
直列接続では、空間系エフェクトを深くかけるほど原音(Dry音)がぼやけ、音像が奥へ引っ込んでしまいます。これは、本来主役であるべき原音がエフェクト成分によって「上書き」されてしまうためです。
P.S.S.P. mixerは、ラックシステムのような広大な広がりと、壁を突き破るようなサウンドの芯を完璧に両立させるため、以下の3つの並列メリットを追求しました。
原音の「芯」を100%維持: 原音を一切加工せず最短距離で通過させ、そこに空間系(Wet音)を並列でブレンド。どれだけ深く残響をかけても、演奏の輪郭が失われません。
濁りのない空間表現: 3系統の空間系を並列でミックスするため、エフェクト同士が干渉して音が濁ることがなく、極めて透明感のある美しい広がりを実現します。
位相問題の完全解消: 並列ミックス時に起こりがちな「逆相による音痩せ」を、各ch独立の位相反転スイッチ(Phase Inversion SW)で論理的に解決。常に太いトーンを保証します。
エンジニアリングの粋を尽くした内部フローが、究極のシグナル・インテグリティを保証します。
[Internal Signal Path]
INPUT → Internal ATT (-6dB / -14dB) → 4-Way Parallel Split
↓ (Dry / chF / chP / chC)
↓
Effect Processing
↓
Phase Correction (Polarity SW)↓
OUTPUT ← Summing & Gain Recovery (+6dB / +14dB)
±9V Dual Rail Supply:内部電圧を±9Vまで昇圧し、圧倒的なヘッドルームを確保。
Professional Level Management:背面アッテネーターにより、コンパクトペダルの入力飽和を防ぐだけでなく、高出力なラックエフェクターやラインレベル(+4dB等)にも完璧に対応します。
Phase Inversion Switch:各chに位相反転スイッチを搭載。並列ミックス時に起こりがちな「逆相による音痩せ」を完全に解消します。
External Logic Support:スイッチャーからの制御と、本体フットスイッチによる操作が「OR」の関係で動作する現場主義のロジックを採用。
Channels: 3 Parallel Loops + 1 Dry Pass (Original Signal)
Precision Control: Master Input / Master Output Level
Analog Integrity: 厳選されたアナログパーツによる低ノイズ・低歪み設計
Connectivity: ギター、バッファ、センド信号、業務用ラック機材に対応
藤原さんが15年間使い倒してくれた「PL-4」へのフィードバックを元に、今の私が持てる技術を全て詰め込みました。「ch1, 2...」という順序を排し、あえて「chF, P, C」と命名したのは、すべての音が横並びで対等である「完全並列」の証明です。
これは単なるエフェクターではなく、ギタリストが描く「理想の空間」を現実にするための高精度な制御デバイスです。アナログ回路の真髄を、ぜひその耳で確かめてください。
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開発秘話:PL-4からP.S.S.P.へ。15年の歳月が磨き上げた「理想の形」
15年前、理想の音と機能を追い求めた結果、既存の筐体一つには収まりきらない回路が完成しました。どうしても妥協したくなかった私は、1590B筐体を2つ連結させるという力技で、プロトタイプ「PL-4」を形にしました。
手書きの設計図とメモ: 裏蓋に貼られたマスキングテープには、現場で試行錯誤した痕跡が刻まれています。
ユニバーサル基板の職人技: 一枚ずつ手作業でパーツを載せ、回路の整合性を確かめる。気の遠くなるような「手間」が、すべての始まりでした。
長い年月を経て、設計技術と環境は進化しました。かつて2つの筐体を必要とした複雑な回路は、現在では最新のSMT(表面実装)技術により、一つのコンパクトな筐体へと高密度に凝縮されています。
信頼性の向上: SMT化により、過酷な足元の環境でも揺るがない耐久性と、徹底した低ノイズ化を実現。
変わらない魂: 中身は現代的に洗練されましたが、そこに流れる「エンジニアリング・ロジック」は、あの手書きメモの時代から一切ブレていません。
「今の時代、中身を見せてがっかりされないだろうか?」という自問自答もありました。しかし、この整然とした内部基板こそが、15年間試行錯誤を繰り返してきた私なりの「誠実さの答え」です。
「手間を惜しまなかった過去」があるからこそ、「無駄を削ぎ落とした今」がある。
新しくなったP.S.S.P.の裏蓋を開けたとき、その進化の歴史を感じていただければ幸いです。
■ The Genealogy of Parallel Design:パラレル設計の系譜
P.S.S.P. mixerの設計者である山口は、長年にわたりパラレル・プロセッシングの可能性を追求してきました。かつて手がけたVOCU "Magic BLEND Room"もその一つです。
Magic BLEND Room (VOCU): ハイパス/ローパス・フィルターを搭載し、帯域ごとに音を切り分ける「音作り(サウンド・メイク)」のためのパラレル・ツール。
P.S.S.P. mixer (ENDROLL LITES): フィルターを廃し、3つのチャンネル(chF, P, C)を完全に対等なフルレンジで並列化。空間系の広がりを最大化し、原音の芯を貫くことに特化した「空間制御(シグナル・マネジメント)」の到達点。
「多機能なツール」から「究極の専用機」へ。 VOCUでの緻密な設計経験と、15年前の「PL-4」からの現場フィードバックが交差した時、このP.S.S.P.の論理的基盤(ロジック)は完成しました。